文系出身がおくる物理せいかつ

中学の時に数学や理科が嫌いになり、高校大学と文系に進んだが、大学の時にあることがきっかけで物理に目覚めたとある文系の日記です。興味ある分野は物理のほか、数学、言語、景観工学、観光学、鉄道あたりですのでこの辺りが主なトピックスになりそうですな。

【リモート講義】放送大学の学び方

 

 みなさんこんにちは。

今回は、昨今のCOVID-19の影響による学校の授業のオンライン化やリモートワークへのシフトが急務となっていることを踏まえ、日本の通信制大学の先駆けである放送大学での学び方について振り返りながら、私が感じたリモートのメリットやデメリットをまとめておく。

 

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放送大学本部

 

放送大学という名前は普通にテレビで放送しているのでご存知の方も多いと思われるが、それが何なのかは認知度が高くないであろうからザッと説明しておく。

 

放送大学は1983年に設立された国立民営の通信制大学である。生涯学習の機会を広く与えることを使命としており、幅広い世代、様々な職業を持つ学生が在籍している。

学部は教養学部教養学科1つのみであるが、6つのコースに分かれておりそれぞれで専門的な講義が行われている。また、大学院も設置されており、博士前期課程・博士後期課程がある。以下は学部教育について述べる。

 

放送大学には他の大学と同様に入学と卒業の概念がある。しかし、大学入試は存在せず、基本的に願書を提出して不備が無ければ入学が許可される。そして4年以上在学して124単位集めれば卒業となり、学士号が授与される。

 

ここから詳しく授業の中身を見ていく。放送大学における講義形態は、テレビ科目、ラジオ科目、オンライン科目、面接授業に分かれる。面接授業については通常の大学の講義と同様に講義室に集まって先生のお話を聞くタイプであるのでここでは触れない。

 

テレビ科目、ラジオ科目を選択すると学期の初めに放送大学オリジナルの教科書が郵送で届く。それを読みつつ週1回の放送授業を視聴しながらお勉強する。なお、放送授業はインターネット上で公開されているため必ずしも放送時間にテレビの前にいる必要はない。学期の間に中間課題を提出しなければならず、これを出さないと期末試験の受験資格を失う。この課題の提出は郵送又はインターネット上でできる。そして学期末には単位認定試験を受験する。これは時間割が決まっており、各学生が入学時に選んだ全国にある所属学習センターに赴き筆記試験を受ける。その試験で6割以上の点数を取れば合格となり単位が認定される。つまり、単位を取得するために大学に行かなければならないのは期末試験だけであり、そのほかは大体オンラインで済むということになる。

 

続いてオンライン科目について。オンライン科目は期末試験などもなく、完全にオンライン上で完結する科目である。期末レポートをオンライン上で提出したり、BBSを使って他の学生とディスカッションすることが単位取得のための課題になっている。この科目は時間に縛られることが全くないので特に社会人には有難い存在なのではないかと思われる。

 

ここまでは放送大学の仕組みについてお話してきたが、最後に学生目線で放送大学の感想を述べる。

まず、メリットについて。

メリットは、時間や場所に縛られずに勉強して単位を取れるということが挙げられる。特に社会人にとっては非常に有難い。夜間大学などの選択肢もあるにはあるが、シフト制の仕事をしていると固定された曜日に合わせて出席するのは難しい。しかし、通信制であれば期末試験さえ都合をつければ他は時間を気にする必要がない。これは大きなアドバンテージである。

 

一方デメリットは、質問をしにくいということと、同じ水準で話し合える学生仲間を作るのが難しいということを挙げておく。前者は、質問票という制度があり、一人につき数回程度担当教員に郵送またはオンラインで質問を送ることができるが、回数制限があるしちょっとしたことを聞くには使いにくい。後者も割と深刻な問題でもある。やはり勉強というのはインプットだけでなくアウトプットする機会が必要なのである。だいたい同じくらいの理解度の者同士でディスカッションする中で自分の理解度を確かめることができるはずなのだが、教室の実体がないためそのような仲間を見つけるのは困難である。

 

これらの特徴から通信制大学では、学生はほぼ独学と変わりない状況に置かれる。お尻を叩かれないと進めることができない学生にとってはかなり厳しい環境である。私自身、なんとか単位取得はしたものの真に理解をしたかと言えば怪しい部分は多々ある。

 

この先、小中高大問わずオンライン授業が広がると思われるが、提供側は様々な背景の学生がいるということをしっかり認識したうえで、できるだけ取りこぼしの無いように努めてほしいと思っている。

 

今週のお題「オンライン」