文系出身がおくる物理せいかつ

中学の時に数学や理科が嫌いになり、高校大学と文系に進んだが、大学の時にあることがきっかけで物理に目覚めたとある文系の日記です。興味ある分野は物理のほか、数学、言語、景観工学、観光学、鉄道あたりですのでこの辺りが主なトピックスになりそうですな。

「なるほど虚数」読書感想文

皆様こんにちは。気が向いたときに書く備忘録用感想文です。自分向けなのであまり遠慮せずに言いたいことを言っていくスタイルにしています。

 

今回レビューする書籍はこちら。

 

タイトル:なるほど虚数

著者:村上雅人

出版社:海鳴社

出版年:2000

ISBN:4-87525-197-1

 

【感想】

 

 この本では、物理や工学で出てくる虚数はいったい何なのかということを説明しています。解説はかなり丁寧な部類だと思います。高校の数学は知っている必要がありますが、その程度の知識さえあれば最後まで読み進めることができます。

 

 新しい章に入った後も、必要があれば以前説明した内容を繰り返し述べて思い出してもらう用のパートを設けています。これが非常に有難い。私は一度聞いただけでは覚えられないし、一々前に読んだ知識の詳細を確認するためにページを戻るのは面倒に感じる無精者なので、必要になったらしつこく書いておいてくれるホスピタリティに感動しました。

 同じようなことですがもう一点。本書では理工書にありがちな式番号が振られていません。他書であれば、「式(1.3)に式(5.6)を用いることで式(11.7)となり~~」のように書いてあるので、その度に一々前に戻って確認せねばならんのですが、本書では必要な式はその都度書いてあるので助かります。

 さらに、「なるほど」シリーズでは、他の「なるほど」本で既に紹介してある内容であっても必要であれば書いてあります。物理系の本だと毎回三角関数フーリエ変換の説明が載っています。他の本なら、「この部分に関しては拙著『~~』を参照されたい。」とか書いてあるところを、説明を省かずに載せてあります。一々他の本を探しに図書館に行かなくてもいいのは嬉しいです。また、そういうわけなので、「なるほど」シリーズは見た目が少し厚めでも、同じことが何回も書いてあるので読んでいるうちにだんだん消化速度が上がってきますので、思ったより負担も少なく読めます。

 これらの部分は賛否両論ありそうですが、私は好きです。

 

 村上雅人先生の「なるほど」シリーズは、タイトルがインパクト無いし、本自体も白地にパワーポイントで作ったかのような味気ない表紙だったりして全然目に留まりません。しかし、一部界隈ではわかりやすいことが評判で隠れ名著として知られているようです。数学系の人には物足りないでしょうが、応用の立場で数学を使う人にはウケが良いのではないでしょうか。

 

 理工系の学生は、行き詰ったらとりあえずマセマという風潮がある気がしますが、アレなんかよりは断然こちらの方がおすすめです。ただ、本書では演習が十分でないので、これを読んでテストで点が取れるというものではないことには留意する必要がありそうです。

 

それでは今回はこの辺で~。