文系出身がおくる物理せいかつ

中学の時に数学や理科が嫌いになり、高校大学と文系に進んだが、大学の時にあることがきっかけで物理に目覚めたとある文系の日記です。興味ある分野は物理のほか、数学、言語、景観工学、観光学、鉄道あたりですのでこの辺りが主なトピックスになりそうですな。

【プロ学生】給付型奨学金を貰いながら大学院に通う方法

学生は基本的に授業料を学校に払って大学に行きます。しかし、世の中には学校に払うお金が無くて進学を諦めたり、授業料を工面するのにアルバイトをして学業に専念できなくなったりという話をよく聞きます。

 

私の場合は給付型奨学金を貰ったり、授業料減免措置などをフル活用しながら大学院修士課程に2年間通っていました。アルバイトの必要もなく、帰省や趣味に使うお金も 確保できたので、それなりに文化的な生活を維持しながら学業に励むことができました。

 

今回は、どのようにしてそのようなお金を貰いながら大学に通う「プロ学生」状態になったのかをお話していきます。

 

 

1.学部卒業後に社会人期間を挟む

 プロ学生になるためにはこれが結構重要なのではないかと考えています。プロ学生の極意は、「払うべきものを払わずして貰えるものを貰う」というところにあります。この状態になるためには、「私は収入が少ないです」というアピールをしていくことが重要になります。基本的に諸々の審査には前年の世帯収入が用いられます。両親の収入がどの程度かにもよりますが、普通に公務員とか会社員とかをしている場合は年収500万くらいはあるものだと思います。このくらいだと収入が多すぎると判断され、授業料減免や奨学金の審査に不利になります。

 

 そこで、学部新卒でいったん就職してしまい、親の扶養から外れることで世帯収入を下げるということをします。普通の新卒なら年収100万台後半~300万台前半になると思いますが、その程度の収入であれば各種審査に通る可能性が高くなります。また、この期間に仕事をしながら退職後の大学院生活の資金を蓄えておきます。(会社と進学先双方が許してくれるならば休職して大学院に行くことも可能かもしれません。)私の場合は3年働いて100万円ほど貯金を貯めました。在職中も通信制大学に入学してモチベーションを保っていました。通信制大学は学費が安いのでそれほど金銭的負担はありませんでした。フルタイムで学業はできませんが、お金があるので本をたくさん買えるのは社会人のメリットですね。

 

 ちなみに、退職後に必要な資金というのは、家賃、光熱費、食費、通信費、健康保険料、住民税、学費あたりを考えておけばよいと思います。特に健康保険や住民税、学費は前年の収入をもとに計算され、退職後も2年ほど尾を引きますので注意してください。健康保険料は、退職後も任意継続というのが2年間できます。私の場合はすぐに国民健康保険に切り替えるよりも1年間任意継続をした方が安くなるようだったので任意継続にしました。

 

2.学生寮に住む

 学生寮はあるなら絶対に入るべきです。支出のうち、家賃を抑えることが最も重要です。とにかく毎月払う固定費は安くしなければなりません。私が入っていた学生寮は、家賃と光熱費を合わせて1万円/月でした。シャバでは信じられない破格の家賃です。もちろんトイレシャワーキッチン共同だし、部屋は狭いし音漏れも激しいですが、安いに越したことはありません。こういう学生寮は多分国立大に多いと思いますので、国立大の院に入ることをお勧めします。授業料も安いしね。

 

3.入学金・授業料減免は必ず申請

 入学金と授業料の減免申請はおそらく入学前から始まると思うので、しっかり情報収集をして期限に間に合うように書類を用意します。国立大では入学金が28万円、授業料が年間52万円ほどです。これをフルで払うと大きな出費になりますので、手続きが面倒でも必ずやります。成績優秀で収入が低い人に対して全額免除、半額免除、1/4免除、免除不許可のいずれかの判定が下ります。「成績優秀」といっても、普通にやっていれば十分要件を満たせます。GPA2.0以上とかそんなもんです。これを満たせないなら大学院は諦めた方がいいレベルです。重要なのは収入が低いことです。前述のように社会人期間を挟んでいれば、独立生計者としての申請が可能となり、何らかの免除には引っかかると思います。具体的にいくらくらいだとどの程度の判定になるのかは公開されていません。私の場合、前年の収入は300万行かないくらいだったと思うんですが、入学金は免除不許可、授業料は半額免除でした。入学金は周りに聞いても免除されたという人は聞いたことがないのでかなり要件が厳しいのだと思います。授業料に関しては在学中ずっと半額免除が続きました。(正直2年目は全免になると思っていたのになぜか半額だったのが腑に落ちない。)

 

4.奨学金は片っ端から応募

 これも大変重要なのですが、奨学金は応募できるものは全部応募しましょう。まず、JASSOの貸与型奨学金は、収入が低ければ第一種(利子なし)を借りることができます。これを満額借りてしまうのがおすすめです。使わないにしても何かあった時のために銀行にでも入れておけば利息が付きますし、修了時に優れた業績を挙げていれば返還が免除になる仕組みもあります。100万円くらいをゲットできるチャンスなのでぜひ借りておきましょう。ちなみに私は学会発表1件しか業績がなくて落ちました。

 

 また、返済の義務がない給付型の奨学金というのも各種団体からたくさん出ています。これを応募要件が足りているもの片っ端から応募していきます。こういうのは運がものをいうので、金額の大小や募集人数にかかわらず全部出します。私の場合は5個か6個出して3個くらい通りました。この審査も基本的には収入が重要だと思うので、自分の能力は低いから通らないだろうな…みたいな心配は無用です。唯一問題なのは、奨学金の応募には指導教員の推薦状が必要だということです。こういうことに協力的かどうかというのは人によると思いますので、入試前には研究室訪問の際に推薦状をきちんと書いてもらえるかどうかも確認しておいた方がいいでしょう。

 

 ちなみに、給付型の奨学金は応募可能な大学が限られているパターンがちょくちょくあり、有名私立や国立大からしか出せないという場合があります。なので、特に理由がなければ国立大に進学することをお勧めします。また、各地方自治体やその土地ごとに○○県出身の学生限定の奨学金なども存在し、そのようなものは比較的倍率が低い可能性があります。今まで住んだことのある都道府県や市町村のホームページなどで情報収集するとよいでしょう。また、最近は高齢化も手伝ってか色々な企業や団体で学生の囲い込みが進んでいます。○○会社に就職するつもりの学生向けとか○○という団体の活動お手伝いをしてくれる学生向けの奨学金なども掘れば出てきます。マニアックなものほど倍率は低いので、自分の興味のある企業や趣味団体、NPO法人など手あたり次第探してみましょう。

 

 私の場合は結局平均すると年額150万円ほど受け取っていたことになります。これだけあれば最低限の生活は送ることができますので、親に仕送りを頼んだりアルバイトをしたりする必要はありませんでした。しかも奨学金は収入ではないので非課税ですから丸々手取りになります。

 

 

 

 大体このような感じでありとあらゆる手を尽くしてある程度手元資金を確保しながら無事大学院を修了し、修士号を得ることができました。ほかにも、学割が色々なところで効いたり、学生交流事業を使ってタダで海外旅行に行けたりと、研究以外にも充実した学生生活を送れたように思います。私は大学院には行きたいけどカネがないという理由でいったんは就職しましたが、紆余曲折ありながらもマスター取れたので満足しています。わざわざ会社辞めて大学院に行くやつなんてレアな気もしますが、この記事がそういうつもりの方のお役に立てれば幸いでございます。