文系出身がおくる物理せいかつ

中学の時に数学や理科が嫌いになり、高校大学と文系に進んだが、大学の時にあることがきっかけで物理に目覚めたとある文系の日記です。興味ある分野は物理のほか、数学、言語、景観工学、観光学、鉄道あたりですのでこの辺りが主なトピックスになりそうですな。

【プロ学生】給付型奨学金を貰いながら大学院に通う方法

学生は基本的に授業料を学校に払って大学に行きます。しかし、世の中には学校に払うお金が無くて進学を諦めたり、授業料を工面するのにアルバイトをして学業に専念できなくなったりという話をよく聞きます。

 

私の場合は給付型奨学金を貰ったり、授業料減免措置などをフル活用しながら大学院修士課程に2年間通っていました。アルバイトの必要もなく、帰省や趣味に使うお金も 確保できたので、それなりに文化的な生活を維持しながら学業に励むことができました。

 

今回は、どのようにしてそのようなお金を貰いながら大学に通う「プロ学生」状態になったのかをお話していきます。

 

 

1.学部卒業後に社会人期間を挟む

 プロ学生になるためにはこれが結構重要なのではないかと考えています。プロ学生の極意は、「払うべきものを払わずして貰えるものを貰う」というところにあります。この状態になるためには、「私は収入が少ないです」というアピールをしていくことが重要になります。基本的に諸々の審査には前年の世帯収入が用いられます。両親の収入がどの程度かにもよりますが、普通に公務員とか会社員とかをしている場合は年収500万くらいはあるものだと思います。このくらいだと収入が多すぎると判断され、授業料減免や奨学金の審査に不利になります。

 

 そこで、学部新卒でいったん就職してしまい、親の扶養から外れることで世帯収入を下げるということをします。普通の新卒なら年収100万台後半~300万台前半になると思いますが、その程度の収入であれば各種審査に通る可能性が高くなります。また、この期間に仕事をしながら退職後の大学院生活の資金を蓄えておきます。(会社と進学先双方が許してくれるならば休職して大学院に行くことも可能かもしれません。)私の場合は3年働いて100万円ほど貯金を貯めました。在職中も通信制大学に入学してモチベーションを保っていました。通信制大学は学費が安いのでそれほど金銭的負担はありませんでした。フルタイムで学業はできませんが、お金があるので本をたくさん買えるのは社会人のメリットですね。

 

 ちなみに、退職後に必要な資金というのは、家賃、光熱費、食費、通信費、健康保険料、住民税、学費あたりを考えておけばよいと思います。特に健康保険や住民税、学費は前年の収入をもとに計算され、退職後も2年ほど尾を引きますので注意してください。健康保険料は、退職後も任意継続というのが2年間できます。私の場合はすぐに国民健康保険に切り替えるよりも1年間任意継続をした方が安くなるようだったので任意継続にしました。

 

2.学生寮に住む

 学生寮はあるなら絶対に入るべきです。支出のうち、家賃を抑えることが最も重要です。とにかく毎月払う固定費は安くしなければなりません。私が入っていた学生寮は、家賃と光熱費を合わせて1万円/月でした。シャバでは信じられない破格の家賃です。もちろんトイレシャワーキッチン共同だし、部屋は狭いし音漏れも激しいですが、安いに越したことはありません。こういう学生寮は多分国立大に多いと思いますので、国立大の院に入ることをお勧めします。授業料も安いしね。

 

3.入学金・授業料減免は必ず申請

 入学金と授業料の減免申請はおそらく入学前から始まると思うので、しっかり情報収集をして期限に間に合うように書類を用意します。国立大では入学金が28万円、授業料が年間52万円ほどです。これをフルで払うと大きな出費になりますので、手続きが面倒でも必ずやります。成績優秀で収入が低い人に対して全額免除、半額免除、1/4免除、免除不許可のいずれかの判定が下ります。「成績優秀」といっても、普通にやっていれば十分要件を満たせます。GPA2.0以上とかそんなもんです。これを満たせないなら大学院は諦めた方がいいレベルです。重要なのは収入が低いことです。前述のように社会人期間を挟んでいれば、独立生計者としての申請が可能となり、何らかの免除には引っかかると思います。具体的にいくらくらいだとどの程度の判定になるのかは公開されていません。私の場合、前年の収入は300万行かないくらいだったと思うんですが、入学金は免除不許可、授業料は半額免除でした。入学金は周りに聞いても免除されたという人は聞いたことがないのでかなり要件が厳しいのだと思います。授業料に関しては在学中ずっと半額免除が続きました。(正直2年目は全免になると思っていたのになぜか半額だったのが腑に落ちない。)

 

4.奨学金は片っ端から応募

 これも大変重要なのですが、奨学金は応募できるものは全部応募しましょう。まず、JASSOの貸与型奨学金は、収入が低ければ第一種(利子なし)を借りることができます。これを満額借りてしまうのがおすすめです。使わないにしても何かあった時のために銀行にでも入れておけば利息が付きますし、修了時に優れた業績を挙げていれば返還が免除になる仕組みもあります。100万円くらいをゲットできるチャンスなのでぜひ借りておきましょう。ちなみに私は学会発表1件しか業績がなくて落ちました。

 

 また、返済の義務がない給付型の奨学金というのも各種団体からたくさん出ています。これを応募要件が足りているもの片っ端から応募していきます。こういうのは運がものをいうので、金額の大小や募集人数にかかわらず全部出します。私の場合は5個か6個出して3個くらい通りました。この審査も基本的には収入が重要だと思うので、自分の能力は低いから通らないだろうな…みたいな心配は無用です。唯一問題なのは、奨学金の応募には指導教員の推薦状が必要だということです。こういうことに協力的かどうかというのは人によると思いますので、入試前には研究室訪問の際に推薦状をきちんと書いてもらえるかどうかも確認しておいた方がいいでしょう。

 

 ちなみに、給付型の奨学金は応募可能な大学が限られているパターンがちょくちょくあり、有名私立や国立大からしか出せないという場合があります。なので、特に理由がなければ国立大に進学することをお勧めします。また、各地方自治体やその土地ごとに○○県出身の学生限定の奨学金なども存在し、そのようなものは比較的倍率が低い可能性があります。今まで住んだことのある都道府県や市町村のホームページなどで情報収集するとよいでしょう。また、最近は高齢化も手伝ってか色々な企業や団体で学生の囲い込みが進んでいます。○○会社に就職するつもりの学生向けとか○○という団体の活動お手伝いをしてくれる学生向けの奨学金なども掘れば出てきます。マニアックなものほど倍率は低いので、自分の興味のある企業や趣味団体、NPO法人など手あたり次第探してみましょう。

 

 私の場合は結局平均すると年額150万円ほど受け取っていたことになります。これだけあれば最低限の生活は送ることができますので、親に仕送りを頼んだりアルバイトをしたりする必要はありませんでした。しかも奨学金は収入ではないので非課税ですから丸々手取りになります。

 

 

 

 大体このような感じでありとあらゆる手を尽くしてある程度手元資金を確保しながら無事大学院を修了し、修士号を得ることができました。ほかにも、学割が色々なところで効いたり、学生交流事業を使ってタダで海外旅行に行けたりと、研究以外にも充実した学生生活を送れたように思います。私は大学院には行きたいけどカネがないという理由でいったんは就職しましたが、紆余曲折ありながらもマスター取れたので満足しています。わざわざ会社辞めて大学院に行くやつなんてレアな気もしますが、この記事がそういうつもりの方のお役に立てれば幸いでございます。

 

 

【ネタバレ有 辛口レビュー】名探偵コナン 緋色の弾丸を観た感想

 まず初めにお断りですが、タイトルにもある通り本レビューは辛口レビューですので、コナンファンの皆さんやこの映画が好きな方にとっては不快な内容が含まれている可能性があります。耐えられない方は読まないでください。

 

 一方で、映画を見てケチをつけることを趣味としている人間も一定数おりますので、どちらかというとそういう方はどうぞ読み進めてください。

 

 さて、まずは個人的評価を星で表しますと

★★☆☆☆(星1.5)

です。言葉で言うと、「最低ではない。」です。

 

 コナン映画は年々興行収入過去最高を更新しており、多様な観客がいることを考えると全ての人にウケるものに仕上げるのは難しいんでしょうね。個人的にはミステリーとかサスペンスに寄っていた初期コナンが好きだったのですが、探偵たちの鎮魂歌辺りから方向性が変わったような気がして、いつの間にかアクション映画というかギャグ映画に成り果てたという風に感じています。

 

 それが悪いとは思いませんし、実際それで売り上げが伸びているのだから商業的に成功しているのは褒めるべきことかもしれませんが、もはやこのストーリーを演じるキャラがコナンである必要性があるのか?と思います。

 

 そういうわけで、あまり期待せずに映画を見てみて思ったことなどを以下ツラツラ書きます。

 

 まずは良いところを述べておきます。

 

 序盤のパーティのパートはパーティ会場が停電して事件が起こるというコナンの定番パターンで、鈴木会長という割と視聴者にもなじみのある人物が忽然と姿を消したというのが不安をあおり、物語に入り込めたのは大変良かった。最近は序盤からつまんない映画が多かったので、若干作品への期待が高まってしまった。(結果的には何の伏線でもなくてストーリー上あっても無くても良かった事件ではあったが…。)

 

 また、元太がいつも「うな重うな重」と五月蠅くて鬱陶しかったが、今回はそれが事件解決に結びついたのも良ポイントであった。この元太の機能が最後の犯人の特定に結びついていれば収まりも良かった気がするが、まぁそんなことはなく、少年探偵団はこれ以降モブキャラになります。

 

 前説で赤井ファミリーの紹介をしていた。これが今回の最大の良ポイント。

 

 いいところはこれだけですね。以下、悪いところというか、ツッコミポイントを述べます。

 

 そもそもの発端である15年前の事件は結局何だったのかわからなかった。今回の事件がそれを模倣しているというのは分かったけど、誘拐したはいいけどすぐに解放したり、逃げ出した奴だけ射殺されたりしたのは何だったのか。そこが明らかにならないと今回の事件も謎のままではないか…。モヤモヤする…。

 

 犯人特定のためのカギが簡単すぎ。舞台挨拶で3人の名前がデカデカと表示されて名前についてウダウダ言ってたところで、名前がカギなんだというのは分かりました。後々証人保護プログラムで名前の変え方の話のくだりで「はいはい、アナグラムアナグラム」って感じでした。謎解きが得意な方なら舞台挨拶の時点でピンと来てるかもしれませんね。

 

 話が散らかりすぎ。コナン、新幹線組、赤井、ジョディ、秀吉、少年探偵と一々場面が切り替わるが大して意味はない。同時並行はせめて2場面くらいじゃないと情報過多。みんな別々の場所にいるのでみんなスマホいじってて、なんか視聴者置いてけぼり感があった。

 

 蘭がお父さんを守るとかコナンが欄を守るとか電話でツベコベ話してたシーンがは結局何か意味あったのでしょうかね。病院のシーンでは誰も誰を守ることもできずにバタバタ倒れたし、最終的にはリニア組と新幹線組で分かれちゃったし、小五郎と蘭はもう最終盤に至ってはカメラに映りもしなかったし。

 

 リニアが舞台になった意味が分からない。ストーリー上全く不要だった。いくら模倣犯とはいえデトロイトの都市鉄道とリニアを重ね合わせるなんて無理がありますわ。(てか模倣する意味あった?)クエンチもだいぶ推してたけど、スタッフの中にクエンチを聞きかじった人でもいたのだろうか。液体ヘリウムのクエンチ現象がどの程度の威力なのかわかんないですけど、あそこまではならないのでは…。だいたいヘリウムが部屋に充満したらツベコベ言う前に死にます…。

 

 リニア乗車前になんで体調検査したんだっけ?あれなんか意味あったの?

 

 なんで片道飛行機だったんだ?往復リニアでよくね?

 

 スケボーのシーンで路肩に駐車した車にぶつかりそうになったシーン、要らないよね。

 

 赤井の狙撃については言いたいことは山ほどありますが、もうこれはリアリティがどうのみたいな次元の話じゃないのでこれ以上ツッコみません…。

 

 携帯が鳴らなかったやつが犯人みたいなの、そもそもリニアに乗ってる奴が犯人に決まってんじゃん。意味なかったよね。それに、犯人だけケータイ鳴るとかだったら1万歩譲って納得したかもしれないけど、犯人だけ鳴らないとか特定ムズ過ぎだろ…。(それに、結局2人目の犯人に関しては携帯鳴ってるし。)

 

 なぜ井上は逃げたのか。これだけの大事件を犯すならおとなしく捕まるなり自殺するくらいの覚悟はあったと思うが…。

 

 パラシュート、あれ普通にリニアを運行できていたとしてもあんなもん走行中に出したら大惨事では…。

 

 リニアが最後に突っ込むシーンはベイカー街の亡霊を彷彿とさせるものでしたが何の捻りもなくてある意味衝撃でした。100万歩譲って世良とコナンが助かったとしても、犯人と被害者はもう無理やろ…。

 

 あとは、リニア作ったばっかりなのに勿体ないとか、液体ヘリウム勿体ないとかそういうこと思ってました。

 

 映画に限った話じゃないですが、近年のコナンは登場人物が喋りすぎで興ざめな感じもします。不必要なセリフや不必要なシーンが多いせいで話に集中できません。かつてのコナンは無駄なシーンや会話は全くなくて気持ちよく見れたんですけどね。それに、昔のコナンはとんでもないトリックだったりあり得ない動機であったとしてもそれを視聴者に気にさせない構成になっていました。最近はそういうのを隠す気もないというかなんというか、見ててこっちが恥ずかしくなるというか…。

 

 そこら辺の映画レビューを見てみると緋色の弾丸はそれなりに好評のようなのですが、観客のレベルが低すぎるんじゃないかなと思います。それか、映像で表現できていない部分を補完できる高レベルな一部ファンもいるのかもしれませんが…。いずれにしても制作陣がこういう作品を作ってしまうのは観客が甘やかしてきた結果だと思います。

 

 ここまでちゃんと読んできた方は分かると思いますが、私は本作やコナン自体のストーリーが悪いと言っているわけではなく、それを表現する技術が未熟だと言っているんですよね。同じストーリーでも表現の仕方によって印象が変わるというのは、最近放送された「ピアノソナタ『月光』殺人事件」のリメイク版を見た方なら納得できると思います。オリジナル版は当然ちゃんとお話になっていましたが、リメイク版はお話にすらなっていませんでした。コナン達が月影島に来た経緯の説明が不十分だし蘭が月光の譜面を見ただけでおかしいと気づくなど、不自然で雑な進行が散見されました。

 

 緋色の弾丸は、素材はそれほど悪くないと思うのでキチンと作ればもっといい作品になったと思うのですが、残念でなりません。長々となりましたが、コナンが末永く愛される作品であるように願う気持ちは私にもありますので、制作陣の皆さんは是非TVシリーズも映画も頑張って作ってください。私好みが世の中の好みと一致しないのは重々承知していますので、みんなが楽しめる作品であればそれでいいと思います。以上、緋色の弾丸辛口レビューでした。

 

 

「アトキンス 物理科学入門」読書感想文

 

今回レビューする書籍はこちら。

 

タイトル:アトキンス 物理科学入門

著者:Peter Atkins (訳:渡辺正)

出版社:東京化学同人

出版年:2014

ISBN:978-4-8079-0861-5

 

【感想】

 アトキンスと言えば物理化学の定番の教科書を書いている方ですが、外野向けの入門書も書いていました。本書の最大の特徴は数式を(ほぼ)使っていないことです。数式だらけの物理化学の教科書を見てウンザリした方は一度目を通してみると良いでしょう。身近な出来事を例に挙げながら、できるだけ平易に解説しようという思いが伝わってきます。

 

 以前、似たような本で「数式フリーの物理化学」のレビューを書きましたが、アレよりは専門的な雰囲気です。単なる雑学にならないように物理化学の入り口をサラッと説明してくれている、良書の部類だと思います。

 

 これを読んだだけでどうなるというわけではないですが、専門外の人が手軽に分野の雰囲気を知るだけなら十分ではないかと思います。もっと知りたい人はより本格的な教科書に進めばよいと思います。

 

それでは今回はこの辺で~。

 

 

 

「なるほど虚数」読書感想文

皆様こんにちは。気が向いたときに書く備忘録用感想文です。自分向けなのであまり遠慮せずに言いたいことを言っていくスタイルにしています。

 

今回レビューする書籍はこちら。

 

タイトル:なるほど虚数

著者:村上雅人

出版社:海鳴社

出版年:2000

ISBN:4-87525-197-1

 

【感想】

 

 この本では、物理や工学で出てくる虚数はいったい何なのかということを説明しています。解説はかなり丁寧な部類だと思います。高校の数学は知っている必要がありますが、その程度の知識さえあれば最後まで読み進めることができます。

 

 新しい章に入った後も、必要があれば以前説明した内容を繰り返し述べて思い出してもらう用のパートを設けています。これが非常に有難い。私は一度聞いただけでは覚えられないし、一々前に読んだ知識の詳細を確認するためにページを戻るのは面倒に感じる無精者なので、必要になったらしつこく書いておいてくれるホスピタリティに感動しました。

 同じようなことですがもう一点。本書では理工書にありがちな式番号が振られていません。他書であれば、「式(1.3)に式(5.6)を用いることで式(11.7)となり~~」のように書いてあるので、その度に一々前に戻って確認せねばならんのですが、本書では必要な式はその都度書いてあるので助かります。

 さらに、「なるほど」シリーズでは、他の「なるほど」本で既に紹介してある内容であっても必要であれば書いてあります。物理系の本だと毎回三角関数フーリエ変換の説明が載っています。他の本なら、「この部分に関しては拙著『~~』を参照されたい。」とか書いてあるところを、説明を省かずに載せてあります。一々他の本を探しに図書館に行かなくてもいいのは嬉しいです。また、そういうわけなので、「なるほど」シリーズは見た目が少し厚めでも、同じことが何回も書いてあるので読んでいるうちにだんだん消化速度が上がってきますので、思ったより負担も少なく読めます。

 これらの部分は賛否両論ありそうですが、私は好きです。

 

 村上雅人先生の「なるほど」シリーズは、タイトルがインパクト無いし、本自体も白地にパワーポイントで作ったかのような味気ない表紙だったりして全然目に留まりません。しかし、一部界隈ではわかりやすいことが評判で隠れ名著として知られているようです。数学系の人には物足りないでしょうが、応用の立場で数学を使う人にはウケが良いのではないでしょうか。

 

 理工系の学生は、行き詰ったらとりあえずマセマという風潮がある気がしますが、アレなんかよりは断然こちらの方がおすすめです。ただ、本書では演習が十分でないので、これを読んでテストで点が取れるというものではないことには留意する必要がありそうです。

 

それでは今回はこの辺で~。

 

 

 

「数学フリーの物理化学」読書感想文

皆様こんにちは。これから気が向いたときに備忘録として読んだ本の感想をまとめておくことにします。自分向けなのであまり遠慮せずに言いたいことを言っていくスタイルにしようと思います。

 

今回レビューする書籍はこちら。

 

タイトル:数学フリーの物理化学

著者:齋藤勝裕

出版社:日刊工業新聞社

出版年:2016

ISBN:978-4-526-07600-8

 

【感想】

 正直私は物理化学が何なのかイマイチよくわかっていないです。物理なのか化学なのかはっきりしていただきたいものですが…。本書では化学者が化学寄りの立場から物理化学を解説しているようです。

 「数学フリーの」とタイトルにある通り数学らしい数学というのは出てきません。また、見開き1ページで一つの事を解説しており、左ページが本文、右ページは図表という構成です。図解雑学みたいな感じです。

 一通り読んで分かった気にはなった気がしますが、振り返ってよく考えると何だったんだという気もします。物理化学と言っているけど殆ど化学の話だった気がするのですが、そういうものなのでしょうか。物理化学初めの一歩としてサラッと読み流す分にはお気楽極楽でいい本だと思います。

 「はじめに」の部分に「本書を読むのに基礎知識は一切必要ありません」とありましたが、本当に基礎知識もない人は途中で躓く気がしますので、これは誇大広告な気がします。限られた紙面でまぁまぁな量を説明しているので仕方ないとは思いますが。逆に基礎知識がない人がスラスラ読み切って「物理化学完全に理解した」と言っていたらそれは思い上がり甚だしいだろうと思います。所々で話に飛躍があるので「ッッ!」となるところがありました。

 また、物理屋の視点から見ると大雑把だなぁという感じがします。別に物理をやっているわけでもないし、これはこれで良い気もしますが。

 ついでに、誤植がチラホラあります。しょうがないと言えばしょうがないけど初学者向けの本でこういうのはやっぱり気になります。

 全体的な感想としては「誰に向けて書いているのかよくわからない」と思いました。物理や化学を専門でやっている人には物足りなさすぎるし、素人には若干敷居が高い気がします。そういうことを考えると高校生向けなのかなぁ…とも思えますが。

 

 と、ここまでクドクド書きましたが、本書のコンセプトはとてもいいと思います。この本を読んでいて、少し化学って面白そうだなと思えました。

 「酸・塩基」のあたりがお気に入りです。8章-5節で『一般に金属元素は酸化されると塩基性酸化物を与え-(中略)-非金属元素も同様に酸性酸化物を与えます。』という説明があり、8章-6節-1で緩衝液の話題を出し、8-6-2で酸性食品塩基性食品の話をしています。ここで、「植物には金属イオンが含まれるので塩基性酸化物となり、肉類はアミノ酸を構成する窒素や硫黄を含んでいるため酸性酸化物を与える。だが、体液は緩衝液なので何を食べても体のpHは変わらない。」という説明をしていた。キッチリ伏線を回収している感があって読んでいて気持ちよかったです。

 ちなみに、どうでもいい話ですが、以前おばあちゃんの家に行ったときに私は何かのはずみで梅干を食べながら「梅干しは酸性やからなぁ~」みたいなことをポロッと言いました。するとおばあちゃんは、「梅干しはアルカリ性だよ」と言うんですね。んなバカな~こんなに酸っぱいのに?と思いながら「梅干し アルカリ性」で検索すると「梅干しはアルカリ性食品です」という記述が出てきました。その時はモヤモヤしつつも特に追求せず、「そうなんや、俺が間違ってたのか…」と謎の敗北感を味わっていました。しかし、本書によれば、塩基性食品というのは代謝後の生成物が塩基性のものを指すのだとのことで、梅干し本体は化学的には酸性なようです。スッキリしました。

 もう1か所のお気に入りはイオン化傾向の語呂合わせですね。「貸そうかな。まあアテにするな。ひどすぎる借金。」これ、高校化学ではそこそこ有名なようですが、私は高校化学を履修していないので「ふ~ん」と思いました。記憶力が弱いのでこういうゴロ合わせはとても助かります。まぁ、イオン化傾向なんて今後の人生で使うことはないと思いますが、レモン電池を作ることになった際にどの金属が極板に適しているか分からなくなった時にこのゴロを唱えると思い出すかもしれませんね。

 

 そういうわけで、化学に興味のある初心者なら面白く読めるかもしれません。この本を通して物理化学に出てくる用語に触れることができて楽しいと思います。化学嫌いの方はこの本よりもっと簡単な本を読むことをお勧めします。もっとちゃんと読みたい方は、本書で参考文献に上がっている「アトキンス物理化学(上)第6版」をご覧になると良いと思います。アトキンスはチラっとだけ見ましたが、こちらはこちらで絵がいっぱいあって分かりやすそうな雰囲気でした。字は小さいですがね。パッと見では物理色が強い感じでしたので、物理屋には馴染みやすいかもしれません。

 

それでは今回はこの辺で~。

 

 

 

沖縄に住んだ感想

私は沖縄に住んだことがあるだが、内地の人間にとってはそこそこ珍しいんじゃなかろうかと思うので、今回はそれぞれの違いとか受けたカルチャーショックとかについて綴ってみようと思う。

 

 

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▲沖縄の海岸

沖縄初上陸

 

色々あって沖縄に住むことになった。それまで沖縄には行ったことがなく、知っていることは県庁所在地が那覇であること、ちんすこう、エイサー、琉球大学首里城。こんなもん。

 

新しい生活に期待と不安を抱きながら飛行機に乗っていた。もうすぐ着陸するというので窓の外を見ると小さな島が浮かんでいた。

 

「あぁ、沖縄にはこういう小さな美しい島々がたくさんあるんだろうな。」

 

そう思っていたら、飛行機はぐんぐん高度を下げていく。

 

「えっ、ちょっとまって、そんなはずは…だって、反対側の海見えちゃってるよ…」

 

そうだ。これから俺が住むのは沖縄本島だ。こんな小さな島なはずはない。

 

ほどなくして、私を乗せた飛行機はその小さな島に降りた。

 

「えええええええええええええええええ!!!!沖縄ってこんなにちっせぇのかよおおおおおおおおおお!!!」

 

これが沖縄で一発目のショッキングな出来事だった。

この先数年の間は沖縄に住むというのに、こんな今にも沈みそうな島で生きていけるんだろうかと早速不安MAXである…。

 

一年目のホームシック

 

沖縄は思ったよりも内地と違うことが多い。

 

まず気になったのは植生。なんかこう、ジャングルみたいにわしゃわしゃしている。

 

お店も違う。スーパーとかホームセンターは沖縄に限った話じゃないけどご当地のやつがあって、ショッピングセンターといえば「サンエー」、スーパーと言えば「かねひで」「ユニオン」、ホムセンと言えば「メイクマン」である。そして、看板は台風対策のため最小限にしてあり、直接建物にペイントしてあるのが主流。買い物をした際、普通は袋詰めは自分でするが、沖縄では店員さんがやってくれる。そういえば、現在ではあるらしいが当時はセブンイレブンが無く、ローソンかファミマしかなかった。

 

道路も違う。道幅が広い。日本の市街地というのは大抵道幅キツキツなのだが、沖縄は広い。歩道には点字ブロックがあるのだが、黄色い点字ブロックはない。景観の問題からなのかよくわからんが、とにかくない。

 

家も違う。三角屋根がない。沖縄と言えば赤い瓦を漆喰で固めたようなやつを想像していたが、そのような家はほぼ無い。コンクリート造りの四角い形をした家が多い。

 

一年目の自分にはこの辺りの違いがストレスだった。沖縄を去る頃には当然慣れたのだが、当時は見慣れた内地の風景というのが恋しくて仕方なかった。たまに内地に帰ったら真っ先にセブンに入って食べたくもないおにぎりを買ったものだ…。

 

社会的な違い

 

沖縄で仕事してて困ったのは、相手の名前がよくわからんということだ。「阿波根」「渡慶次」「勢理客」…。読めねぇよ!(笑)

ある程度名前のパターンが決まっているので、慣れればなんのことはないのだが…。逆に自分の名前だけで沖縄の人間ではないとバレてしまうのも若干面倒である。

 

飲み会が永遠に終わらないのも悩みのタネの一つであった。沖縄は公共交通が貧弱なので、基本的に皆マイカーで移動する。飲み会でも代行を頼むのが普通なので終電という概念がない。一度始まると夜が明けるまで付き合わなければならない。適当な理由で抜け出したことは数知れず…。

 

海では泳がないというのも意外であった。観光客は水着でビーチに繰り出してバシャバシャやっているのだが、沖縄県民はあまりそういうことはしない。海に行くと言えばビーチパーティなるBBQが催されることが多く、基本的には浜辺で遊ぶ。流れで海に入ることもあるが着衣のまま適当に遊んで終わりである。

 

また、県民は思ったほど普天間辺野古の事を気にしていないっぽい。勿論、地元の人はとっとと普天間は片づけてほしいと思っているのであろうけれども…。時々一般向けに米軍基地が解放されてイベントが行われることがあり、普天間に入ったことがあるが、結構普通に人集まってたし普通に楽しんだし…。

ただ、反米軍感情が無くはないんだろうとも思うことも。沖縄には他の都道府県のように県警があるが、他に米軍警察もいる。米軍関係者が事件や事故を起こすと軍警察が絡んできて身柄が米側に行っちゃって日本の法で裁けないことがあったりなかったりするらしく、その辺は結構みんな気にしてるみたい。

 

言葉について。沖縄には琉球方言(うちなーぐち)が存在し、これは普通の日本人が聞いても全く理解不能なのであるが、日常的に使用する人はいなくて、高齢者が話そうと思えば話せるレベルのもののようだ。日常会話では他の都道府県と同じレベルでイントネーションや単語レベルの差異にとどまっているので支障はない。ただ、若い人と中高年以上の間や本島内でも南部と北部の間で微妙に言い回しが違ったりしているようだ。個人的には非常に興味深い。

 

沖縄時間についても触れておく。沖縄では基本的に集合時間通りにメンバーが集合することはない。寧ろ集合時間に家を出るというのはザラである。勿論そのことによって咎められることはないし、怒ろうものなら「それを見越して集合時間を早めに設定しない方が悪い」となる。1時間遅れは許容範囲である。普段から5分前行動を心掛けている諸兄姉は注意しなければならない。慣れるまではフラストレーションが溜まるが、慣れてしまうとこれが非常に心地よいのである。沖縄を去った後もしばらくこのクセが抜けず、多方面に迷惑をかけたような気がする。

 

だいたい言いたいことは言えてスッキリした。

最後に、今回は沖縄に移住して感じたショックに焦点を当てて書いているのでちょっとトゲトゲしかったかもしれない。しかし、全体的に振り返ると沖縄での生活は非常に充実したものであったし、なんならもう一度住みたいくらいである。もし、この先皆さんが沖縄に住むことになったら、その際は是非沖縄生活を満喫していただきたい。

 

 

 

今週のお題「激レア体験」

【リモート講義】放送大学の学び方

 

 みなさんこんにちは。

今回は、昨今のCOVID-19の影響による学校の授業のオンライン化やリモートワークへのシフトが急務となっていることを踏まえ、日本の通信制大学の先駆けである放送大学での学び方について振り返りながら、私が感じたリモートのメリットやデメリットをまとめておく。

 

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放送大学本部

 

放送大学という名前は普通にテレビで放送しているのでご存知の方も多いと思われるが、それが何なのかは認知度が高くないであろうからザッと説明しておく。

 

放送大学は1983年に設立された国立民営の通信制大学である。生涯学習の機会を広く与えることを使命としており、幅広い世代、様々な職業を持つ学生が在籍している。

学部は教養学部教養学科1つのみであるが、6つのコースに分かれておりそれぞれで専門的な講義が行われている。また、大学院も設置されており、博士前期課程・博士後期課程がある。以下は学部教育について述べる。

 

放送大学には他の大学と同様に入学と卒業の概念がある。しかし、大学入試は存在せず、基本的に願書を提出して不備が無ければ入学が許可される。そして4年以上在学して124単位集めれば卒業となり、学士号が授与される。

 

ここから詳しく授業の中身を見ていく。放送大学における講義形態は、テレビ科目、ラジオ科目、オンライン科目、面接授業に分かれる。面接授業については通常の大学の講義と同様に講義室に集まって先生のお話を聞くタイプであるのでここでは触れない。

 

テレビ科目、ラジオ科目を選択すると学期の初めに放送大学オリジナルの教科書が郵送で届く。それを読みつつ週1回の放送授業を視聴しながらお勉強する。なお、放送授業はインターネット上で公開されているため必ずしも放送時間にテレビの前にいる必要はない。学期の間に中間課題を提出しなければならず、これを出さないと期末試験の受験資格を失う。この課題の提出は郵送又はインターネット上でできる。そして学期末には単位認定試験を受験する。これは時間割が決まっており、各学生が入学時に選んだ全国にある所属学習センターに赴き筆記試験を受ける。その試験で6割以上の点数を取れば合格となり単位が認定される。つまり、単位を取得するために大学に行かなければならないのは期末試験だけであり、そのほかは大体オンラインで済むということになる。

 

続いてオンライン科目について。オンライン科目は期末試験などもなく、完全にオンライン上で完結する科目である。期末レポートをオンライン上で提出したり、BBSを使って他の学生とディスカッションすることが単位取得のための課題になっている。この科目は時間に縛られることが全くないので特に社会人には有難い存在なのではないかと思われる。

 

ここまでは放送大学の仕組みについてお話してきたが、最後に学生目線で放送大学の感想を述べる。

まず、メリットについて。

メリットは、時間や場所に縛られずに勉強して単位を取れるということが挙げられる。特に社会人にとっては非常に有難い。夜間大学などの選択肢もあるにはあるが、シフト制の仕事をしていると固定された曜日に合わせて出席するのは難しい。しかし、通信制であれば期末試験さえ都合をつければ他は時間を気にする必要がない。これは大きなアドバンテージである。

 

一方デメリットは、質問をしにくいということと、同じ水準で話し合える学生仲間を作るのが難しいということを挙げておく。前者は、質問票という制度があり、一人につき数回程度担当教員に郵送またはオンラインで質問を送ることができるが、回数制限があるしちょっとしたことを聞くには使いにくい。後者も割と深刻な問題でもある。やはり勉強というのはインプットだけでなくアウトプットする機会が必要なのである。だいたい同じくらいの理解度の者同士でディスカッションする中で自分の理解度を確かめることができるはずなのだが、教室の実体がないためそのような仲間を見つけるのは困難である。

 

これらの特徴から通信制大学では、学生はほぼ独学と変わりない状況に置かれる。お尻を叩かれないと進めることができない学生にとってはかなり厳しい環境である。私自身、なんとか単位取得はしたものの真に理解をしたかと言えば怪しい部分は多々ある。

 

この先、小中高大問わずオンライン授業が広がると思われるが、提供側は様々な背景の学生がいるということをしっかり認識したうえで、できるだけ取りこぼしの無いように努めてほしいと思っている。

 

今週のお題「オンライン」